私は、今更父がほしいのだ。

小さい頃、いつも何処かに帰って行く父の背中を見送ってた。

文化住宅の二階から。

はじめからそうだったから不思議にも思わなかった様に思う。

誰ががその私の背中を観ている構図で記憶が切り取られている。

今思うと寂しかったのだろう。

口にだすと周りの人が困るから言わない。

意地っ張りのまま、

身体を固めて立つ。

何も出来なかった。